« N響が吹奏楽を演奏した | Main | 飲酒運転は厳罰でしょ、知事? »

ギャップレス再生の話 ( iTunes 7 でようやく不満解消 )

初代iPod nanoを購入して1年。ぼくにとって、楽しいデジタルミュージックの世界での最大の不満は、Appleの製品がいずれもCDでは当たり前の連続再生ができなかったことだ。
こう書くと「できるよーん」という人も多いだろうが、これまでの iTunes と iPod は曲ファイルごとに「再生の仕切り直し」をしていて、一瞬だが音が切れていた。 iTunes の再生オプションをどんなにいじろうが(クロスフェード再生を0秒にすればいいという書き込みがWebで見られたが、それではまったく解決にならなかった)、様々なエンコードエンジンを使おうが(CBRは少しマシだったがダメはダメ)、MP3のタグを書き換えるソフトを使おうが、満足のいく結果は得られなかった。おおかたの作品では気にならないが、ときどき次のようなことが起きてイライラしていたのだ。

・ポップスのコンサートライブ盤で次の曲が始まるいい瞬間で、音切れ。
・ベートーベンの第5交響曲のクライマックス、第4楽章に入る直前で、音の空白。
・同様に各種の協奏曲でも楽章を続けて演奏するところは緊張を高めるところが多く、音が切れて雰囲気ぶちこわし。
・「ゴルドベルグ変奏曲」「展覧会の絵」「ダフニスとクロエ」「英雄の生涯」長い交響曲やバレエなど、CDでトラックを分けられている演奏時間が長い作品がトラックごとにぶつ切れ。
・曲が切れているものでも、CD制作者が精魂込めて作った曲間がちゃんと再生出来なかった。むしろこの件で、グールドのバッハ(平均律とか)のアルバムが実に絶妙の曲間が用意されていて、心地よく聴けるようになっていたことを知った。
・MP3のVBRファイルでは曲の最後を誤認するケースがあった。とくに曲が長くなるとiTunes 6は致命的におかしな動きをした。ぼくの持っていたマーラー9番では3楽章の終わり10秒が再生せずに途中で切れて、4楽章を演奏していた。長い曲ほどどっぷり感情移入して聞いているので、こうした誤動作が起きると落胆は大きい。

これまではこうした曲の場合は、「CDトラックの統合」というオプションでトラックを結合したエンコードファイルを作るほか無かったが、エンコードの前に指定する必要がある上に、できたファイルは長大で使いにくい。せめて、"Enhanced podcast"仕様のACCファイルにしてトラックの痕跡を残せばいいのに。アルプス交響曲で50分のファイルというのは、カセットテープ時代に戻ったような気分だ。そういえば90年代前半のCDプレーヤーも、プログラム再生すると順送りのセッティングでも曲間で切れる機種があったなぁ。

しかし、これからはこうしたことにイライラしなくて良いのだ。iTunes 7 ではちゃんと「ギャップレス再生」してくれる。今も安心してグレン・グールドを聴きながら書いている。ところで、この「ギャップレス再生」だが、英語の語感としては気持ち悪いものを感じていた。ギャップが少なくなったけど、場合によってはちょっと残っているよという意味かとも思える。でも安心。米国のAppleサイトには "Skip-free playback" と書いてあった。リリースには "completely skip-free playback" とあるから完全に解決したのだろう。日本のメディアは揃って 「ギャップレス再生」 と書いていたが、アップル日本法人のリリースの表現に合わせているのだな。日本でも「スキップフリー」か「ギャップフリー」と書いてくれたら良かったのに。

ぼくは音声圧縮技術には素人(それを職業としていないという意味で)だが、技術的には展開後の再生波形をFIFOでバッファすれば連続再生出来るだろうと考えていたのだが、Appleのアプローチはどうも違う。あらかじめタグに再生時間の詳細値を書き込んでおき、それを参照しながらスキップフリー(いやギャップレスか)を達成しているようである。バッテリの節約なのか、特許の回避なのか、よく分からないけど面白いアプローチだな。

ぼくのiPodはしばらく買い換えるつもりはないけど、将来的には解決の方法が見つかっているし、これ以上、エンコードにこだわる必要はなくなった。iTunes 7 なら、曲間の不自然さに緊張することもなさそうだ。気持ちいいなぁ。しかし、1年で解決するなんて、ユーザとしてのイライラの数々はムダであった。オーディオの再生の仕方ごときに一生懸命になってしまった自分が恥ずかしかったりする。

|

« N響が吹奏楽を演奏した | Main | 飲酒運転は厳罰でしょ、知事? »

Comments

はじめまして。アマチュアチェロ弾きの「とりぷる」と申します。

「iTunes7はギャップレス再生に対応」という記事をネットで見かけて、「やっとこの機能がついたか」と喜び、さっそくダウンロードして使ってみました。しかし・・・iTunesのほうではギャップレス再生したい複数のトラックを選び、「プロパティ」画面で「ギャップレス再生アルバム」の項目を「はい」にすればいつでもギャップレス再生してくれるようです。iPodのほうでは、当方所有の第4世代60GB(音楽専用)と第5世代30GB(動画専用)を使って試したところ、ギャップレス再生には少なくとも現時点では第5世代のみの対応のようです(おそらくソフトウェアのVer.1.2へのアップデートが必要)。第4世代もアップデートで対応してくれないものか、と思っています。

Posted by: とりぷる | Tuesday, September 19, 2006 at 22:29

とりぷるさん、コメントありがとうございます。ギャップレス(スキップフリー)は気になる、でも買ったばかりのiPodを買い換えるのはためらいますよね。私も同感です。
このエントリを書いてから出たいくつかのレビューを確認してると、古い機種(ぼくは旧nanoです)でもファームウエアをアップデートすると少し改善する(mycom)とか、新機種でも「次の曲が微妙に被る(AV Watch)」など、興味深い情報があります。
新機種購入はしばらくは様子をみても良さそうですね。

【レビューなど】
http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/09/14/nano/
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060919/dev163.htm
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT0g000015092006

Posted by: zakkie | Saturday, September 23, 2006 at 23:49

うーん、やっぱり曲間が気になる。iTunes7.1になった今でも、曲が途切れるなぁ。そんなに難しいのか、スキップフリー再生は。切れるぐらいなら、ちょっと被って再生される方が良いのだが、どのエンコードでも切れてしまうみたいだ。何とかしてくれー >apple

Posted by: zakkie | Friday, March 16, 2007 at 00:48

初めまして。

私も同じく初代iPod nanoを使っているのですが、iTunesを最新版に更新しても、曲間の不自然な間が消えません。

>ベートーベンの第5交響曲のクライマックス、第4楽章に入る直前で、音の空白。

これ本当に曲が台無しですよね。盛り上がり最頂で4楽章につながるはずが、ぶつっと途切れて最悪な気分になります。そして4楽章の始まりが唐突。そこまでに作られていた響きなど皆無の唐突な和音。

本当に、CDと同じように再生するのがそんなに難しいものかと、強く不満に思ってしまいます。

思わずコメントをしてしまいました。

Posted by: | Saturday, June 07, 2008 at 12:39

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4222/11911851

Listed below are links to weblogs that reference ギャップレス再生の話 ( iTunes 7 でようやく不満解消 ):

» ipod nanoさらに進化しました。 [音楽無料ダウンロードとiPodの使い方]
トラックバック失礼いたします。ipod nanoさらに進化しましたね。 [Read More]

Tracked on Saturday, September 16, 2006 at 16:07

» iPodWiki [iPodWiki]
iPodiPod 5GiPod nano 2GiPod shuffle 2GiPod... [Read More]

Tracked on Sunday, September 17, 2006 at 11:06

» プリンスのパフォーマンスにしびれました。 [mp3ダウンロード無料]
私はプリンスの「パープルレイン」が大好きですが、今回発見したライブにはしびれました。グラミーショーの余興のようですが、 [Read More]

Tracked on Tuesday, September 26, 2006 at 02:46

« N響が吹奏楽を演奏した | Main | 飲酒運転は厳罰でしょ、知事? »