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Shark:IBMの新入力法ってすごいかも

しばらく前までPalm(パーム、CLIE)を使っていたのだけど、使うのを止めてしまった。1年前のエントリで、Palmを気持ちよく使っている風のことを書いたけど、すでにオークションで売り払って手元にもない。Palmの代わりに、紙の手帳とオンラインのカレンダーを使っている。
5年前、初めて買ったPalm(白黒液晶のPalm m100)に、ぼくは3つのことで感動した。一つは、単4電池2本で10時間以上使える省エネ設計。アプリケーションで無理をしなければモバイル機器の電池寿命はずいぶん長くなる。2つめは豊富なアプリケーション。関数電卓やweb巡回ソフトがすぐに手に入った。そして、3つめがGraffitiというアルファベット一筆書き入力法だ。スタイラスペンが画面から離れるごとに一字ずつ確定するというアイデアが実に美しく感じた。もっとも、Graffitiに似たアイデア自体はPalm以前からあったようで、特許訴訟になったりしている。
かつてぼくが感動した3つのポイントうち、今のPalmは2つを失ってしまっている。まず、電池寿命。カラー液晶を搭載したり、CPUパワーが上がったりして消費電力が増大。バッテリー切れが心配で外出先で使えなくなった。最近は専用電池を内蔵しているので電池交換もできない。マルチメディア機能満載のCLIE末期モデルは、下手に進化した恐竜みたいだ。大きくなりすぎてその利点を失った。2つめは、時代が進んでもアプリが進展しないことだ。携帯電話とPDAが一体化したスマートフォンが日本でなかなか普及しない。日本の携帯通信会社はPalmがお嫌いらしい。PalmOS端末ではコンテンツ販売をコントロールできないからね。勝手な予想としてはソフトバンクはコンテンツビジネスに拘るだろうな(既存業者と一緒じゃん)。この点はイー・アクセスに期待している。ぼくが買いたいと思うPalm端末が現れるのは、いつになるのだろう。
そうこうしているうちに、PDA用のソフトをダウンロード販売していた@irBitWay今月いっぱいで閉鎖になる。内容が充実していたこのサイトは、凸版印刷が運営していたのだが撤退するようだ。日本のPDA市場は失速状態にある。

さて、このエントリを書こうと思ったきっかけは、CNET-Japanの記事だ。IBMがモバイル機器用に新しい入力方法- Shark (Shorthand-Aided Rapid Keyboarding)- を開発したという。

記事を最初読んだ時は、「何でこれがCNETの記事なの?」とがっかりした。「画面上のキーボードをペンでなぞる」と言うのだから。CNETも大げさなタイトルを付けるなよ、IBMはどうしてこんなもののニュースを発表するのか。別に入力デバイスの面積も小さくならないし…。あまりの拍子抜けに逆に気になってしまい、CNETの画面の上でマウスやペンを動かして、幾つかの単語を何度かなぞってみた。そして気が付いた。これはGraffitiの単語版なのだ。じゅるじゅ~るっと、単語を一筆書きして、ペンを離した時点で確定する。実は結構いい方法かもしれない。自然言語の文字の並びはでたらめではない。日本の携帯端末にある予測変換にも似ているが、てきとーになぞっても上手くソフト処理すれば推測できるのだろう。これはなかなか面白い(といって納得しない方は、画面でなぞってみて下さい)。
やっていると分かるのは、QWERTY配列上でペンをなぞるというのは、実は難しい。キーボードをブラインドで打てても、キーボード面を注視しなければなぞることは出来ないだろう。記事中の「4回の訓練講習会(four training sessions)」が、これを使うまでに必要ということらしい。あまりに難しいから、このSharkにとってQWERTY配列は最適かどうかは分からない。もっといい配列もありそうだ。開発者もそれは分かっているだろうけど、取っつきにくいデバイスを少しでも分かってもらうために今の段階ではQWERTY配列にしているんだろう。
PalmのGraffitiも最初は練習しないといけないが、Sharkはさらに練習が要りそうで、「一般受け」しない可能性が大だ。これはデバイス普及の大きな障害になる。いいアナロジーに同じIBMのトラックポイントがある。トラックポイントは慣れると非常に入力しやすいデバイスで、それを知っている人はIBM(Lenovo)指名買いなのだ(ぼくも大好きだ)。しかし、取っつきにくいので、慣れない人は店頭で触ってもタッチパッドを選ぶらしい。(たとえ見た目は取っつきにくても)馴染めば最高というは技術的には美しいし、顧客の立場でも望ましいとぼくは思うけど、販売的には嫌われるんだよなぁ

Sharkは慣れたときに「ブラインドなぞり」が出来るのだろうか? 文字入力は本文を見ながらしたいから、これも重要なポイントだ。ホームポジションに相当するくぼみみたいな工夫やキーボードの位置を示すエンボスや溝があるといい。キーボードを画面表示するなら、ブラインド入力をサポートするために、入力中にもその過程をうるさくない程度に表示する工夫が必要だろうな。Sharkの日本語化は可能だろうか? 日本語ローマ字入力は母音が多いので、キーボード配列に改善の余地がある。とくに[u],[i],[o]の3文字はQWERTY配列キーボード上で並んでいるので、Sharkで誤認識するのは間違いない。残念だ。実用化までにはかなり時間がかかりそうだ。

ステキな日本語入力モバイルができるまでは、どうしたらいいのか。

上にも書いたけど、PDA起源のOSににマルチメディア機能はまだ無理で(例外はPSPかな)、現段階でマルチメディア機能が必要なら省電力化が進んだWindowsマシンのほうがマシ。日本で魅力的なスマートフォンが手に入るのはまだ先になるだろう。そんなぼくが考える、最適の(=今いちばん欲しい)モバイル機器は、フルキーボードWindowsXP-ノートPC。IBMがSharkの日本語版を実用化するまでは、フルサイズのキーボードが最適解ということで。ファンレス(冷却ファンがついていない)の松下電器Let's noteとかDELL Latitude X1なんかには、所有欲がそそられてしまうこのごろだ。

でも、Latitude X1は、タッチパッドなんだな。残念。次期モデルにはトラックポイント(ポインティングスティック)を採用してくれないかな~ >>Dell様。

一時期はPDAが大好きで熱くなっていたぼくには、なんだか寂しい結論だな。

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