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インテルの特許報酬

CNET JapanにインテルCTOによる講演についての記事があった。その中で、インテルにおける技術者への特許報酬についての言及がある。ASCII24の記事をあわせて読むと、この部分は記者からの質疑応答でのやり取りだったようだ。

Intelでは特許取得に結びついた研究に対して、研究者に約1000ドルのボーナスが支給されるという。

CTO自身が自らは10件と言っているので出願ではなく、特許成立に対してのインセンティブだと思われる(インテルCTOならもっと出願しているだろうという推測だが)。ぼくは妥当な金額だと思う。インテルのような複雑な工程を経て商品を生産するメーカでは、一つの特許で市場独占ができることはほとんどない。いまのインテルは市場独占状態だけども、いくつもの特許はもちろん、特許に馴染まない生産技術や、設計、販売、本社機構(人事、経理…)の総合力によってその地位が築かれているのであって、個々の特許に対するインセンティブは10万円程度というのは適切だとぼくは思う。他社に対して重要なアドバンテージが確保できる特許であればさらに上積みがあるかどうかは知らないけれど、成立までならそれぐらいだろう。
中村裁判で発明対価に注目が集まっている。東京地裁でのいくつかの判例(日立、日亜、味の素)では、たいへん高額な判決が続いている。これらはいずれも重要特許で稀な例かもしれない。それにしても高いな、とぼくは思っている。開発はリスクを伴うものだ。もしも、開発によって得た成果を十分に受けたいのであれば、自らでベンチャーを興して、資金を調達してから開発すべきであって、企業の中にいる限りあまりに高額な報酬を望むべきではないと思う。これは技術者の立場を卑下しているのではない。商品が世に出るには多くの人の力が必要なのだ。商品によって得られた報酬原資があるとして、それがわずか一握りの基礎開発メンバーに多く割り振られるとしたら、いささか不公平だと考えるのだ。発明報酬が行き過ぎれば、基礎開発に携わっていない人のモチベーションが下がりかねない。

発明報酬をマネジメント一環としてとらえれば、「きわめて高い発明報酬を用意している会社」は生き残ることができるだろうか? 分からない。絶好調企業(例えばインテル)で大発明したらどういう待遇になるんだろうか?興味のあるテーマだ。
その逆はわかる。「大発明しても社員に報いない会社」は社員に訴えられるだろう。このころの特許報酬裁判で訴える人って、自分の技術の誇り以上に会社への不満を感じる(これも勝手な想像だが)。人事処遇って難しいね。これも、別の意味で興味のあるテーマだ。

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» ・・・こんなことは米国では許されない−米国弁護士の言葉 [☆志賀敏宏−電脳 経営コンサルタントの視点☆]
確かに表層的な金銭報酬の問題では無いと思います。トラックバックさせてください。よろしくお願いします。 [Read More]

Tracked on Saturday, November 27, 2004 at 00:48

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